暗号資産(仮想通貨)の取引をしている人は、高い確率で海外取引所での取引も考えることでしょう。
日本の取引所は国内の銀行口座から日本円送金をしてビットコインの現物を売買する場所として使い、購入したビットコインは海外に送ってメインの取引をするみたいなパターンです。
海外の取引所は先物・信用取引でもレバレッジの上限が高く、取り扱っているアルトコインやその他商品の銘柄も圧倒的な数を取り揃えています。
そんな暗号資産の海外取引所で高い人気を誇るのがFTXとBinanceです。
今回は、FTXとBinance(バイナンス)のそれぞれの特徴や比較、メリット・デメリットを解説しそれを踏まえどんな人にFTXを使うことをおすすめし、どんな人にBinanceを使うことをおすすめするかお伝えしていきます。
目次
FTXの特徴
FTXは、FTX Trading Ltd.というアンティグア・バーブーダ(カリブ海にある島国でオフショアの金融サービスの拠点に使われる国)の企業が運営母体となっています。
取り扱っている銘柄は非常に多岐にわたります。BTCUSDやアルトコインの現物取引を始め、暗号資産の先物、BTCやアルトコインなどのレバレッジトークン(株でいうところのダブルインバースやブルETF)、ボラティリティトークン(株で言うところのVIXみたいなもの)、TRUMP2024のようなPrediction(予測)トークン、GameStopなどの一般的な上場株(ドル建て)、普通の法定通貨のFX取引まで、すべてここで完結するくらいの品ぞろえです。
日本円で入金することはできませんが、BTCやアルトコインを買ってFTXの自分のアカウントのウォレットに送る事でこれだけの取引が出来るわけですから、非常に便利であると言えます。
まずは、FTXで取り扱っている商品それぞれの特徴を見ていきましょう。
取扱商品
現物取引
FTXの現物取引では、2021年6月現在BTCUSDをはじめとする182銘柄を取引することが可能です。
同じアルトでも、対USD・USDT・BTCなどが選択できます。フィアット建て(法定通貨)で取引したい人もいれば、BTC建ての取引に慣れている人もいるでしょうから、それぞれ得意な方に合わせて選択可能です。
そしてFTXの特徴として、バイナンスコイン(BNB)の取引が可能になっています。バイナンスコインと、FTXの取引所トークン“FTT”については後ほど詳しく説明します。
先物
FTXの先物は、BTCやETHなどの主要な銘柄をはじめとして、XTZやADAなどの中堅、CHZやAVAXなどに至るまで、幅広い種類を取り揃えており、191銘柄にも及びます。先物は流動性が重要ですし、高いレバレッジをかけるのでリスクも高まりますから、ここまで幅広く取りそろえている所は中々見られません。選択肢が増えるので自分の取引したいコインが高いレバレッジで取引できます。
しかもFTXの先物取引はレバレッジを自分で設定することが可能です。先物の取引ページの下の方にMax account leverageという、レバレッジを変更できるバーが存在します。レバレッジは1倍から3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍とあり、最大で101倍に設定できます。※商品によって最大レバレッジは異なります
この最大レバレッジ設定は、Bybitで取引したことのある人なら慣れているでしょうが、これからFTXを使い始める人でも簡単に設定できます。バーを左右にスライドさせて何倍にするか選ぶだけです。
先物取引というのは通常、清算期限が決まっています。FTXの先物は無期限と期限付きのものがあり、無期限はPERPという表記がされています。一方期限付きの先物は2021年6月限なら、「ETH‐0625」のように精算期限が表記されています。
FTX先物はFundingレートが設定されており、ショートしている人は受け取り、ロングしている人は支払いとなります。最新のレートはFunding Ratesから確認できます。
高いレバレッジをかけた取引にはリスクが伴いますが、FTXでは最大でも損失はアカウント内の資金に限定されており、追証を求められることはありません。ポジションの含み損が膨らみ、維持証拠金の要件を下回ると、“精算”となります。
アカウントが破産寸前になった場合、“バックストップリクイディティプロバイダー”という保険基金が用意されていて、そちらに引き継がれてアカウントは閉鎖されます。
1つのアカウント内の資金は担保として供与されますが、サブアカウントを使うことでリスクに晒す資金量を限定できます。
レバレッジトークン
先物ほど高いレバレッジをかけなくても良い方には、FTXのレバレッジトークンがおすすめです。
仕組みとしては、株のダブルインバースに例えると分かりやすいです。BULLは強気という意味ですから、もとの資産が1%上がるとBULLの価格は3%上がる、もとの資産が1%下がるとBULLの価格は3%下がる、という仕組みになっています。
注意しなければならないのは、下がる時も3倍になるので、ある期間に1ETHが1万円から3万円になったとしても、必ずしもBULLは9万円にはならないという点です。これはBEARでも同じです。もとの資産が1%下がると、BEARの価格は3%上がります。
レバレッジトークンにも追証は存在しません。
レバレッジトークンは先物ほど技術を必要としませんが、その分塩漬けしやすくなります。気付いたら損失が膨らんでいる事もあり注意が必要です。
ちなみにFTXのレバレッジトークンはERC20であり、ウォレットに出金が可能です。
ボラティリティトークン
株で例えるならVIX(恐怖指数)です。賭けるのは、「値動きが大きくなるかどうか?」です。
上でも下でも、レンジを抜けて大きく動いたら、トークンの価格が上がる仕組みです。ビットコインのボラティリティトークンは、BTC‐MOVEあるいはBVOLと言う名前が付いています。
Prediction(予測)トークン
FTXには、大統領選の結果などを予測するトークンも上場しています。
2020年の大統領選はトランプVSバイデンで大荒れとなり、話題になりましたがその際によく用いられていたのが、predictionトークンのレートでした。
2021年6月現在上場しているのは、OLY2021(東京オリンピック開催するかどうか)やLOGAN2021(ボクシングのローガンvsメイウェザー戦の結果)、BOLSONARO2022(2022年ブラジル大統領選でボルソナロ氏が勝つ確率)、TRUMP2024(2024年の大統領選に出馬表明していたトランプ氏が勝つ確率)の4銘柄です。
大数の法則と言いますか、これを社会的な先行指標として見なすケースもあります。
ブックメーカーのように賭けに使うことも出来ます。選球眼に自信がある人はやってみると良いでしょう。
上場株
普通の証券取引所に上場しているような株式も、FTXで取引することが出来ます。正確には株式をトークン化したものになります。
Redditから一気に火がつき話題になったGameStop株はGME/USDとして表示されています。他にもTwitterやNetflix、Amazonなどの名だたる企業の株が名を連ねています。TLRY0625など、ティッカーシンボルの横に数字が付いている場合はCMEに上場している株式の先物(をトークン化したもの)となります。
グレイスケールのビットコイントラストやiSharesのシルバーなど、投資信託も取り扱っています。
FX
普通の為替取引もすることができます。ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルなどの取引量が多い主要なペアを始め、ブラジルレアルなどのマイナーな通貨も取り扱っています。
FTT
FTTはFTXのトークンで、保有していると手数料が割引になる仕組みです。またFTTをステーキングに出すと、アフィリエイトの報酬が増額されたり、手数料の一部が還元されたりします。バイナンスコイン(BNB)と似た仕組みとなっており、バイナンスでもFTTの購入は可能になっています。
取扱商品の他にFTXの特徴をご紹介します。
手数料
FTXの手数料は、現物と先物に関わらず、1ケ月の取引高の大きさによって、6つの階層構造に分けられています。Make Feesは指値取引、Take Feesは成り行きによる手数料です。メイカー、テイカ―と呼びます。
※FTX公式サイトより引用
また、FTXのトークンであるFTTを保有している人は、手数料割引があります。 FTTの保有量によって手数料が割引される割合が変化します。
※FTX公式サイトより
先物の決済に手数料は一切かかりません。入金手数料や出金手数料は一切発生しません。
一方レバレッジの高低によって保険基金に払われる手数料が増加します。レバレッジを50倍にすると、取引手数料は0.02%増加し、100倍以上だと取引手数料は0.03%増加します。
レバレッジトークンの作成と償還手数料は0.10%で、日次管理手数料は0.03%となっています。ETFに管理手数料がかかるのと同じ原理です。
レンディング
FTXでは保有している暗号資産を貸し出すことができます。貸し出すと金利が貰えます。貸し出せるのは、BTCやUSDTなどをはじめ、BABA(アリババ株)など、93銘柄に及びます。
取引環境
PCやスマホのブラウザでログインして取引する事も出来ますし、スマホアプリで取引することも可能です。
Binance(バイナンス)の特徴
Binanceはケイマン諸島に所在するBinance Holdings Limitedが運営する取引所です。
取り扱い銘柄数の多さや取引の容易さから、2018年頃に人気が高まりました。
取引対象の商品も多く、BTCやアルトコインの現物、先物があるのはFTXと同じです。一方、取り扱う商品の種類で違う点も多々あります。まず挙げられるのはアルトコイン等のレバレッジ取引(マージン取引と呼ぶ)がある点です。これは先物とは違い、現物にレバレッジをかけて取引するものです。銘柄によってかけられるレバレッジが違います。マージン取引がない銘柄もありますが、出来るものだとレバレッジは3倍から10倍です。
そして、レバレッジトークンもFTXとは異なります。もともとBinanceにもFTXのレバレッジトークンが上場していましたが、2020年4月1日に上場廃止となりました。
その代わり、現在はETFと称してUP・DOWNと名付けられたレバレッジトークンが取り扱われています。FTXと違い、強気も弱気もレバレッジ4倍となっています。1%上がったら4%上がる、のように。注意点はFTXのレバレッジトークンと変わりません。また、Predictionトークンや株、FXは扱っていません。
取扱商品
現物取引
Binanceの現物取引は、BNB建て、BTC建て、ETH建て、USDT建てが存在します。
2021年6月現在、BTC建てだと266銘柄存在し、多様なアルトを取り扱っており、銘柄数だけで言えばFTXを上回る勢いです。
マージントレード(FXトレード)
Binanceの証拠金取引のレバレッジは、COSなどの流動性が低いものは3倍、DOGEは5倍、ETHは10倍のように設定されています。
先物
Binanceの先物取引は、「USDⓈ—M」と「COIN‐M」の2種類が存在します。
「USDⓈ—M」の先物はすべて永久期限となっており、精算期限がありません。BTCUSDTからAVAXUSDTに至るまで様々な通貨の先物が取引可能です。
一方で「COIN‐M」先物は永久期限に加えて四半期期限のものと2四半期期限のものが存在します。こちらは銘柄がBTCUSDやETH、LINK、EOS、XRPなど主要な銘柄に限られています。
先物のレバレッジはBTCUSDだと最大125倍に選択可能です。
ETF(レバレッジトークン)
Binanceのレバレッジトークンはブル・ベアともに4倍のレバレッジとなっていて、追証や清算はありません。FTXの3倍よりもレバが大きくなっています。USDT建てでの取引となっており、銘柄はBTCUPやBTCDOWN、ETHやLINKのUP DOWN、SUSHIやDOTまで扱っています。
注意点はFTXのレバレッジトークンと同じく、清算がない分塩漬けにしやすくなり損失が膨らむ恐れがあります。
BNB
Binanceが発行するバイナンスコインは、保有すると手数料が割り引かれます。保有量によって割引率が変わります。FTXでもBNBを購入することはできます。また、BNBは取引の段階でどうしても口座に発生してしまう残りかすのような小さい通貨の余りをまとめることが可能です。
取り扱い商品のほかに、Binanceの特徴をまとめていきます。
レンディング
バイナンスのレンディングは、預金という形で行われます。預金に普通預金(Flexible Savings)と定期預金(Locked Savings)があります。
普通預金は預入の期間は自由で、好きな時に貸して好きな時に解約できますが、定期預金は一定期間の間資金がロックされます。
普通預金の方が金利は小さくなり、定期預金の方が大きくなります。これは銀行と変わりませんが、バイナンスの普通預金は2021年6月現在、例えばBTCなら1.2%、USDTなら2.08%となります。一方定期預金なら5日間ロックでUSDTが年利換算5.31%となり、リスクがある分金利はそれなりに高くなります。
手数料
Binanceの手数料は、基本一律0.1%ですが、BNBの保有量に応じてBNB支払いでお得になります。
基本的な取引手数料のほか、マージントレードの証拠金借入利率、USDⓈ—M先物取引手数料、COIN‐M先物取引手数料があります。先物はメイカーテイカ―で0%~0.05%の間くらいになっています。
入金方法
バイナンスの入金方法としては、国内取引所からBTC等の現物を送るほか、クレジットカード入金に対応しています。
取引環境
Binanceもパソコンやスマートフォンなどからブラウザでログインして使うことができます。またスマホアプリもあり、比較的使いやすいUIで、現物取引をスマホからやる人には便利です。
さて、ここまで挙げてきたFTXとBinanceの特徴を表でまとめて見ましょう。
FTXとBinanceの比較を表まとめ
| 取引対象 | レバレッジ | 手数料 | レンディング |
FTX | 現物、先物、株、FX、レバレッジトークン、ボラティリティトークン、Predictionトークン | トークン:3倍 先物:~101倍 | メイカー0.01~0.02% テイカー0.04~0.07% FTT割引:3~60% | 93銘柄 変動金利 |
Binance | 現物、マージン取引、先物、レバレッジトークン | トークン:3倍 マージン:3-10倍 先物:~125倍 | 基本一律0.1% BNB保有:25%OFF 先物:0~0.05% | 61銘柄 変動・固定金利 |
FTX・Binanceのそれぞれのメリット&デメリット
前述した内容を踏まえてFTXとBinanceのそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
FTXのメリット&デメリット
FTXのメリットとしては、取り扱っている商品の幅広さや手数料の低さ、レンディング金利の高さ、サブアカウントを作成して先物取引のリスクを分離することなどが可能な事が挙げられます。
一方、FTXのデメリットとしては、そもそも先物取引の証拠金が口座全体に及ぶため、複数口座に分けないと先物のリスク限定が出来ないという点が挙げられます。また、バイナンスに比べるとBTC建て等でのアルトの取り扱い銘柄が少ないため、アルトの現物メインで取引している人にとっては取引したい銘柄が無かったりする事も挙げられます。
Binanceのメリット・デメリット
Binanceのメリットとしては、BTC建て等のアルトの取り扱い銘柄が多いことが挙げられます。アルトの現物取引をメインでやる場合、多くの銘柄を対象にできますので便利です。また、BinanceのBTCUSDの先物のレバレッジは最大125倍で、FTXの101倍より高くなります。
Binanceのデメリットとしては、取引手数料がFTXよりも高く、レンディングの金利もFTXより低いことが挙げられます。またPredictionトークンや株、FXなどは取り扱っていないため、そういったものまで取引したい人には向いていないと言えます。
※関連記事:Binance(バイナンス)の評判は?7個のメリットと2個のデメリット!SNSで口コミを徹底調査!
こんな人にはFTXがおすすめ
FTXは先物や株、為替、予測トークンなど、暗号資産現物以外の取り扱い銘柄が多く、手数料も低いため、多種多様な取引対象を本格的に幅広く頻繁に取引したい人に向いているといえます。レンディングの金利も高いので、1つの取引所で完結するくらいの機能性です。
FTXの口座開設ページへ(公式サイト)
※上記リンクから登録すると取引手数料5%OFF
こんな人にはBinanceがおすすめ
Binanceはアルトの現物取引をするのなら非常に使いやすい取引所です。BTCUSD先物で101倍以上のレバレッジをかけたい人はBinance Futuresで可能です。また国内でわざわざBTCを買って送金しなくてもクレジットカードによる入金が可能なため、その部分の利便性を求めるならBinanceがおすすめです。アプリのUIも現物取引をスマホからやるのに向いていますので、ライトな取引中心ならBinanceのほうが利便性が高いといえます。
Binanceの口座開設ページへ(公式サイト)
※【当サイト限定】上記リンクより登録するとBinanceでの取引手数料永久10%OFF
まとめ
FTXもBinanceもトレーダーにとっては非常に使い勝手のよい取引所です。しかし手数料や取り扱い銘柄など、それぞれ細かい違いがありますので、自身のこだわりポイントに合わせて選んでいきましょう!
コメントはこちら(コメントいただいた方の中から毎週3名様に1000円分のUSDTプレゼント)