フェンタニル取引に仮想通貨が使われている|Ellipticレポート

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違法薬物の取引にはUSDTとBTCが使用されていた

ブロックチェーン分析企業「Elliptic」は23日、米国に密輸されるフェンタニルの多くは中国から輸入され、その決済に暗号資産(仮想通貨)が利用されていることを明らかにした。

フェンタニルは、ヘロインよりも安価に製造でき、50倍以上の効力がある強力な麻酔薬だ。たったひとつまみで死に至り、現在米国の18~45歳の死因となっており、社会問題となっている。

長年、中国が違法なフェンタニルの供給源であったが、2019年にアメリカの外交的圧力で中国政府はこの薬物を規制し、事実上の禁輸となった。しかし、米国の違法なフェンタニルの輸入は急増し続けた。メキシコの麻薬カルテルが、中国から輸入した原料を使って独自のフェンタニルを製造し、その空白に付け込んでいったからだ。

Elliptic社の調査チームは、フェンタニルの原料を供給する意思があり、支払い方法として仮想通貨を提供している中国に拠点を置く化学企業を90社以上特定した。多くは、同じ化学物質をメキシコに出荷したことがあると述べ、ある者は「彼らはいつもUSDTかBitcoinを使って支払っている。」と述べたとのこと。

Fentanyl precursor
中国のサプライヤーがEllipticに共有した、フェンタニルの原料の在庫を示すとされる写真
出典:Elliptic

フェンタニルの原料であるフェンタニルそのものを研究者に供給することに同意した中国拠点の化学メーカーのうち、90%が支払いのために仮想通貨のウォレットアドレスを提供した。仮想通貨ではビットコインが圧倒的に多く、次いで米ドルのステーブルコインであるテザー(Tether)が多かった。

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Elliptic社のブロックチェーン分析によると、これらの企業が使用している仮想通貨ウォレットは、数千件、合計2700万ドル強の支払いを受けており、取引件数は前年比450%増となっています。2700万ドルあれば、約540億ドル(7兆400億円!)の流通価値を持つフェンタニル錠剤を製造するのに十分な原料を購入できる。86億人が致命的な過剰摂取に苦しむのに十分な量だ。

Cryptocurrency payments received by identified fentanyl precursor suppliers
フェンタニルの原料の中国サプライヤーの仮想塚ウォレットの支払い件数
出典:Elliptic

仮想通貨を受け入れた化学サプライヤーの大半は、中国国外に拠点を置く取引所の口座を使用しており、すべて特定の3つの取引所であった。これは、これらの企業が仮想通貨の支払いを人民元に変換するために仲介業者を利用していることも示しているのかもしれない。

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