ロシア中央銀行の監督下で特定企業に仮想通貨決済を許可、制裁回避の効果には限界も
仮想通貨メディア「Latest Crypto」によると、ロシアは特定の企業に対し、中国からの輸入品に仮想通貨での支払いを試験的な法的枠組みの下で許可した。この動きは、西側諸国の経済制裁によって国際的な決済システムの利用が困難になっているロシア企業が、新たな貿易の道を模索する取り組みとして注目されている。
この取り組みは、「輸出管理システム」と呼ばれ、ロシア中央銀行と財務省の協力のもとで運営されている。
試験プログラムに参加が許可された主な企業は以下の通り:
- 二重用途製品(民間用途だが、軍事転用可能な製品)を扱う企業
- 電子機器メーカー
- 金融機関
- ロシア商工会議所の特定メンバー
これらの企業は、軍事転用可能な製品を扱っているため、制裁の影響を受けやすいという共通点がある。
ロシアでは、この試験的なプログラム外で国際取引に仮想通貨を使用することを明確に禁止する法律はない。しかし、仮想通貨の使用に関する包括的な規制が存在しないため、法的な不透明性は依然として残っており、企業は慎重な姿勢を保っている。
ロイター通信の報道によれば、この取り組みは、2023年12月にアメリカがロシアの金融セクターとその海外パートナーに対する圧力を強化して以来、特に深刻化していた決済の遅延に対処するものだ。中国の銀行を含む外国金融機関は、制裁リスクを避けるため、ロシアとの取引審査を厳格化している。その結果、支払いが数ヶ月かかる場合もあり、一部では処理されないケースも報告されていた。
今回の動きの注目すべき点は以下の通りだ。
- 制裁回避の有効性:仮想通貨は、従来の金融システムを経由せずに国際取引を可能にする。しかし、ブロックチェーン上の取引はすべて記録され追跡可能であるため、制裁回避の手段として完全に有効とは言えない。
- 規制の動向:ロシア政府は、このプログラムを厳格に管理し、制裁対象国との取引に使用されないよう監視している。仮想通貨が制裁回避に利用された場合、プログラムが中止される可能性もあり、今後の規制当局の動向が注目される。
- 中国の立場:中国はロシアにとって最大の貿易相手国であるが、中国企業も西側諸国による二次制裁のリスクを懸念している。このため、中国企業はロシアとの取引に慎重な姿勢を保っており、ロシア企業による仮想通貨決済がどの程度受け入れられるかは不透明だ。
ロシアの試みは、仮想通貨が国際的な金融システムに与える影響を示す重要な事例と言える。仮想通貨の利用拡大は、既存の金融秩序に新たな変化をもたらす可能性を秘めている。
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参照ソース:Latest Crypto / ロイター通信