ビジョンファンドからChatGPT開発元に初の大型出資
米インターネットメディア「ジ・インフォーメーション」は9月30日、ソフトバンクグループ(SBG)のビジョンファンドがOpenAIに5億ドル(約720億円)を投資する計画を報じた。この投資は、OpenAIが予定している65億ドル(約9,360億円)規模の資金調達の一環で、SBGからの初の出資となる。
ブルームバーグの報道によると、ChatGPTを開発したOpenAIは、1,500億ドル(約21兆6,000億円)の評価額で投資家から資金を調達する方向で交渉中だ。この資金調達ラウンドはThrive Capitalが主導し、OpenAIの最大支援者であるMicrosoftも参加する見込みだ。一方で、アップルは今回の大規模な資金調達ラウンドへの参加を見送ったという。
この動きは、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏が共同創業者として関わるワールドコイン(Worldcoin)プロジェクトにも間接的な影響を与える可能性があり、AI技術とブロックチェーン技術の融合に注目が集まっている。ワールドコインは2023年5月に1億1500万ドル(約165.6億円)の大型の資金調達を行ったが、OpenAIとの関係性がその人気の背景にあったといわれている。
OpenAIは、今回の資金調達により、様々な業界のビジネスに影響を及ぼす人工知能の商業化を加速させようとしている。OpenAIの技術を活用する企業は、従来のビジネスモデルを一新し、市場全体を再構築する大きな競争上の優位性を獲得できるかもしれない。例えば、小売業者は、より洗練されたチャットボットやパーソナライズされたショッピング体験を提供できるようになり、金融機関は不正検出対策を強化できるようになるだろう。
SBGにとって、これはOpenAIへの初めての投資となる。孫正義会長兼社長は6月の定時株主総会で「人類の1万倍の英知であるASI(人工超知能)が10年以内に生まれる。私はASIを実現するために生まれてきた」と述べており、AI分野への強い関心を示していた。
ソフトバンクGはこれまでOpenAIには投資していなかったが、6月にはビジョンファンドを通じ、AI検索のPerplexity AIに対して30億ドル(約4,320億円)の評価額で投資を行っている。
なお、今回のOpenAIへの投資計画に関して、SBGとOpenAIの両社はコメントを控えている。
OpenAIは今年初めの資金調達で860億ドル(約12兆3,840億円)という企業価値を確立していたが、今回の資金調達により、さらにその価値は跳ね上がることになる。 今回の資金調達ラウンドが成功すれば、OpenAIは世界で最も価値の高いスタートアップの一つとしての地位を確固たるものにし、AI業界に大きな変化をもたらすだろう。
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参照ソース:ブルームバーグの報道