スワン・ビットコイン、機密情報窃盗容疑で元従業員とテザー社を提訴

スワン・ビットコイン、数千億円窃盗容疑で元社員とテザーを提訴
目次

ビットコイン投資会社「スワン・ビットコイン」、マイニング事業窃盗容疑で元従業員とテザーを提訴

ビットコイン専門投資会社「スワン・ビットコイン」は27日、元従業員とステーブルコイン大手「テザー」を相手取り、数千億円規模のビットコインマイニング事業の窃盗容疑で訴訟を起こした。

訴訟監視サイト「Law.com」によると、スワン・ビットコインは、元従業員がビットコイン採掘事業を盗もうと共謀したとして、カリフォルニア州中央地区連邦裁判所に提訴した。訴状によると、元幹部を含む元従業員が、競合会社「プロトン・マネジメント」を設立する目的で、スワン・ビットコインの機密性の高いビットコインマイニング監視ソフトウェアのソースコードや取引先、ビジネスパートナーに関する情報を不正に持ち出したとされている。

スワン・ビットコイン側は、「被告の露骨な窃盗の証拠は圧倒的だ」と主張。「彼らはスワンのビットコインマイニング事業から最も価値のある資産を盗んでいた」と述べた。 スワン・ビットコインは、プロトンが同社のマイニング事業をこれ以上妨害することを防ぐために、恒久的な差し止めを求めている。また、元従業員に対しては、不正に持ち出された機器や機密資料の返還を要求している。損害賠償の具体的な金額は裁判で決定される予定だ。

今回の訴訟で特に注目すべき点は、スワン・ビットコインが暗号資産(仮想通貨)業界最大手のステーブルコイン発行会社であるテザーも、この不正行為に関与していたと主張している点だ。スワン・ビットコインによれば、テザーは同社に「債務不履行通知」を送付することで、敵対的買収の「法的口実」を提供したとされている。さらに、プロトンのCEOであるラファエル・ザゴリー氏(スワン・ビットコインの元最高投資責任者)は、スワン・ビットコインの従業員に退職を促し、同社がテザーからの「清算資金」を受け入れるよう画策したと主張している。

スワン・ビットコインとテザーは、2024年5月に戦略的提携を発表し、テザーはスワン・ビットコインのマイニング事業に多額の資金を投じていた。今回の訴訟は、わずか1年足らずで両社の関係が悪化したことを示唆しており、仮想通貨業界に大きな衝撃を与えている。

今回の訴訟は、以下の重要なポイントを示唆している。

  • 企業秘密の保護の重要性:仮想通貨業界は急速に成長しているが、競争も激化している。企業は独自の技術やビジネスモデルを保護するために、適切な情報管理対策を講じる必要がある。
  • パートナー企業のリスク:提携関係は企業の成長にとって重要だが、リスクも伴う。信頼できるパートナー企業を選択し、契約内容を詳細に検討することが重要だ。
  • 仮想通貨業界の透明性:今回の訴訟は、仮想通貨業界における透明性の欠如を浮き彫りにしている。投資家は、投資判断を行う前に企業やプロジェクトに関する十分な調査を行う必要がある。

スワン・ビットコインは、2023年8月以降、ビットコインのマイニング事業に3億3,000万ドル(約479億円)以上を投資し、7.5EH/s(エクサハッシュ/秒)以上のハッシュレートを運用している。2024年には19.5EH/sまで拡大する契約を結んでいる。テザーは、2024年上半期に約7,800億円の利益を計上した仮想通貨業界の大手企業だ。今回の訴訟の結果は、両社の今後だけでなく、仮想通貨業界全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。

関連テザー、2024年上半期利益は過去最高の約7,800億円と報告
関連クリーンスパーク、ミシシッピ州のマイニング施設を577万ドルで購入

参照ソースLaw.com / スワンとテザー提携発表

最新情報を逃さないために、GoogleニュースでJinaCoinをフォローしよう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中井 純、工学博士
AIは30年以上、web3(仮想通貨)は3年以上フォロー。web3x生成AIには早くから注目し、ビジネスチャンスを研究。東大応用物理学科卒業後、ソニー研究所にて、CD、AIなどの研究開発に従事。MITの電子工学博士取得後、外資系社長を歴任。最近はハイテク・スタートアップの資金調達支援を手がけるかたわら、自らweb3x生成AIのライターとして活躍。技術的なことも分かりやすく、ユーザー目線で解説することが得意です。著書2冊。

目次