アメリカを「仮想通貨の中心地」へ トランプ一族のWLFI、認定投資家限定で始動
ドナルド・トランプ前大統領は1日、自身のXアカウントで、自らが支援する「World Liberty Financial(WLFI)」への参加希望者に向けたKYC(本人確認)プロセスを開始したと発表した。
私はアメリカを再び偉大にすると約束した。今回は仮想通貨を使って。World Liberty Financialは、アメリカを世界の仮想通貨の首都にすることを計画している。適格者向けのホワイトリストが正式に開放された – これは、この歴史的瞬間に参加するチャンスだ。参加は次から:https://worldlibertyfinancial.com
トランプ氏は、WLFIを通じてアメリカを世界の暗号資産(仮想通貨)の中心地にすることを目指していると位置付けている。
WLFIは、トランプ氏一族が手掛けるDeFi(分散型金融)プロジェクトだ。従来の金融機関を通さずに、ユーザーが仮想通貨の貸し借りや利息を得ることを可能にするDeFiマネーマーケットとして設計されている。
仮想通貨メディア「Blockworks」によると、WLFIの特徴は以下の通りだ:
- 米国内の参加者は認定投資家に限定
- 米国外の参加者には制限なし
- プラットフォームのガバナンストークン「WLFIトークン」を発行予定
WLFIトークンの配分は以下のように計画されている:
- 63%が一般販売
- 17%がユーザー報酬
- 20%がチーム報酬(トランプ一族を含む)
WLFIトークンは譲渡不可能なガバナンストークンで、保有者にはWorld Liberty Financialエコシステム内での投票権が付与される。
現在のKYCプロセスでは、以下の情報が要求される:
- 居住国の確認
- イーサリアムウォレットのリンク
- 身分証明書の提出
- 「ライブネスチェック」の完了
また、米国内の認定投資家の条件は厳しく、以下のいずれかを満たす必要がある:
- 純資産100万ドル(約1.4億円)以上
- 個人年収20万ドル(約2,880万円)以上
- 夫婦合算年収30万ドル(約4,320万円)以上
これらの制限により、多くの一般アメリカ人は現時点でプロジェクトに参加できない。WLFIは声明で「すべてのアメリカ人がこのプラットフォームを利用できるよう計画している」と述べているが、具体的な時期は明らかにしていない。
しかし、プロジェクトの開始直後から、次のような批判も起こっている。
- 投資家の制限:米国内の参加者は、規制当局のガイドラインに従い、認定投資家でなければならない。このため、金融サービスへのアクセスが限られた人々や、十分なサービスを受けていないコミュニティに対してサービスを提供するというプロジェクトの目標と矛盾しているのではないかという疑問の声が上がっている。
- 利益相反の可能性:トランプ氏が2024年の大統領選に再出馬することに伴い、特に外国政府がトランプ氏の政権に影響を与えるためにこのプラットフォームを利用する可能性があり、憲法の報酬条項違反の可能性が指摘されている。
- 関係者の過去:WLFIプロジェクトのパートナーであるチェイス・ヘロ氏は、今年初めにハッキングによって破綻したDeFiベンチャー「Dough Finance」に関与していた。
これらの課題はあるにもかかわらず、トランプ氏はこのプロジェクトに対して楽観的な姿勢を示している。彼の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏もまた、DeFiが金融を非政治化し、政府の影響を受けずに運営される可能性を持つとして、支持を表明している。
WLFIは、仮想通貨市場だけでなく、米国の政治においてもデジタル資産の影響力が増大していることを示す象徴的なプロジェクトといえるだろう。
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参照ソース:トランプ氏公式Xアカウント / Blockworks