ビットコイン現物ETFへ巨額の資金が流入するも、価格上昇しない理由

目次

巨額の資金はベーシス取引の原資に使われている可能性、ベーシス取引以外の需要による資金流入が価格上昇のカギか

米国のビットコイン現物ETFは先週だけで約3,000億円もの巨額資金が流入しているが、肝心のビットコイン価格は横ばいで停滞している。なぜだろうか。ブロックチェーン分析企業「Glassnode(グラスノード)」は、ETFに流入する資金が「ベーシス取引」に利用されているためではないか、という考察を公開した。

関連:仮想通貨ETP、3ヶ月ぶりに運用資産総額が1,000億ドルを突破

米国のETFの流入が目覚ましいにもかかわらず、市場中立のキャッシュ・アンド・キャリー取引が買い圧力を抑えているようで、価格変動をさらに刺激するには非裁定取引の需要が必要である。
これと並行して、アクティブアドレスの減少とトランザクション数の急増の間の乖離についても調査します。
最新の Week On-Chain で詳細をご覧ください👇

ベーシス取引とは

現物価格と先物価格の価格差(ベーシス)を利用して利益を得る取引方法で、裁定取引ともいう。

先物価格が現物価格を上回っている状態では割高とみて先物をショートし、株価指数と連動する現物の組み合わせ(バスケット)を買う。その後、先物価格が下がってきたところで先物の買戻し・現物株売りを執行し、差益を得る(買裁定)。

逆に先物価格が理論価格を下回っている状態では割安とみて先物をロング、現物株のバスケットを売る。値上がりしたところで先物の転売・現物株買戻しを執行し、差益を得る(売裁定)

ただし先物価格と現物価格の価格差はわずかであるので、得られる利益も非常に小さい

参考:日本取引所ブルームバーグ

グラスノードは、ETFを発行・運営するブラックロックやフィデリティなどの企業が、流入してきた多額の資金を「ベーシス取引」の原資にしているのではないかと推察している。

実際、米国最大のビットコイン先物市場であるCMEを見てみると、未決済建玉は2024年3月に115億ドルという新記録を樹立した後、80億ドルを超えて安定している。

そして、毎週公開されるCME市場参加者のポジションが分かる「COTレポート」によると、「ヘッジファンド」は「CMEビットコイン先物市場」と「マイクロCMEビットコイン先物市場」の両方でそれぞれ63.3億ドル(約9,900億円)、9,700万ドル(約151億円)のネットショート(※)のポジションを保有している。

※ロングポジションとショートポジションの合計がマイナスであること

ベーシス取引は実質的に市場に中立なポジションなので、これが買い圧力を抑えている可能性が高い。

そのため、ビットコインの価格が上昇するためには、ベーシス取引以外の需要による買いが入る必要があるとグラスノードは指摘している。

CMEの未決済建玉
出典:Glassnode
CMEのビットコイン先物市場参加者別のネットポジション
出典:Glassnode(ただしデータソースはThe Block

関連:DeFiのTVL、15ヶ月ぶりに1,920億ドルに到達|ETHが牽引

(2024年6月13日 第一パラグラフの誤字を訂正しました。)

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元一般企業会社員。現在はトレーダー兼ライター。
株式やFX、仮想通貨デリバティブ、草コイン、ノード運用と色々やっています。

コメントはこちら(コメントいただいた方の中から毎週3名様に1000円分のUSDTプレゼント)

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次