中国Bitmain傘下のビットフーフー、電力コスト削減を目指してアフリカに進出
クラウドマイニングサービスプロバイダーの「BitFuFu(ビットフーフー)」(NASDAQ上場)は22日、エチオピアにある80メガワット (MW) のビットコインマイニング施設の過半数株式を取得する正式契約を締結したと発表した。これは同社にとって初の物理的なマイニング施設の取得となり、従来のクラウド中心の事業から、実物資産を含む総合的なビットコインマイニング事業への転換点となる。
同社のLeo Lu(レオ・ルー)CEOは「この買収は、垂直統合とポートフォリオ多様化への重要なマイルストーンだ」と述べた。
ビットフーフーの発表によると、この買収により同社のビジネスモデルが大きく転換し、グローバル展開が加速する見込みだ。主な特徴は以下の通り:
- 低コストエネルギーの活用: エチオピアの施設では、電力コストが1キロワット時あたり0.04ドル(約6円)未満と低く、収益性の向上が期待される。
- 運用能力の拡大: 2024年6月30日時点で522MWだったホスティング容量が600MW超となり、約13%が自社運営となる。
- マイニング能力の向上: 最新のBitmain S21シリーズ導入により、4.6EH/sの能力追加が可能。全体で24.7EH/sに達する見込み。
エチオピアのマイニング事情について、マイニング業界メディア「The Miner Mag(ザ・マイナーマグ)」によると、エチオピアには約600MWの稼働中のハッシュレートがあり、特に中国のマイニング禁止後、中国系投資家や企業の注目を集めている。
ビットフーフーは、中国のハードウェアメーカー「Bitmain(ビットメイン)」の幹部によって設立され、同社から初期投資を受けた。ビットメインは株式5%を保有する戦略的パートナーであり、2023年上半期のビットフーフーの支出の約65%がビットメインへの支払いとなっている。
ビットメインは、アフリカのビットコインマイニングにも深く関わっており、中国の「Baohui(バオホイ)」と共同でエチオピアの150MWの水力発電を使ったマイニング事業を開発した。
この買収による仮想通貨業界への影響は以下の通り。
- マイニングの地理的分散:中国のビットコインマイニング禁止を受けて、多くのマイナーが海外に拠点を移している。 エチオピアは電力コストが低く、政府の協力的な姿勢により、他の企業のエチオピアや他のアフリカ諸国への進出を促す可能性がある。
- 中国ビットメインの市場支配力強化: ビットメインは、マイニングハードウェア業界で大きな影響力を持ち、アフリカのマイニング市場でさらに存在感を高めることになる。
- マイニング業界の競争激化: エチオピアには、すでに多くのマイニング企業が進出している。ビットフーフーの参入は競争を激化させ、マイニングの収益性低下の可能性がある。効率的なマイニング技術の開発や電力コスト削減を加速させるだろう。
ビットフーフーの急速な成長も注目に値する。過去3年間の収益成長率(CAGR)は66%、調整後EBITDAは167%に達している。クラウドマイニングの登録ユーザー数は39万5,000人を超え、業界トップクラスの規模を誇る。
今回の買収により、ビットフーフーはビットコインマイニング業界においてトップ10に入り、自社マイニングとホスティングサービスを組み合わせたビジネスモデルでさらなる成長を目指す。
この動きは、マイニング業界全体のグローバル化と効率化を加速させる可能性が高く、今後の展開が注目される。
関連:マイニング企業BITMAIN、新型BTCマイニングマシンを発表
関連:米マイニング企業、最大1000億円分のマイニングマシンを追加購入