エルサルバドルの鉄拳大統領ナジブ・ブケレ氏がTIME誌の表紙飾る

エルサルバドルの鉄拳大統領ナジブ・ブケレ氏がTIME誌の表紙飾る
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ビットコイン国家建設の野望と現実:ブケレ大統領の強権政治とビットコイン政策の行方

TIME誌は30日、公式Xで、「ナジブ・ブケレ氏の『鉄拳』がエルサルバドルをどう変えたか」と題し、ブケレ大統領を表紙に起用した最新号を発表した。 

タイム誌の最新表紙:ナジブ・ブケレの「鉄拳」がエルサルバドルをどのように変革したか

ブケレ大統領は2021年、世界で初めてビットコインを法定通貨として採用し、エルサルバドルをビットコイン先進国として位置づけた。同時に、容赦ない取り締まりで国内のギャング組織を壊滅に追い込んだことでも物議を醸している。

TIME誌の報道によると、エルサルバドルのビットコイン導入は国際的に評価が分かれている。

ビットコイン導入のメリットは、以下の点がある:

  • 観光業の活況:仮想通貨マニアや投資家が押し寄せ、観光業が息を吹き返した。政府肝いりのビットコイン・シティ構想は、さらなる経済効果を狙う野心的な一手だ。
  • 金融サービスの普及:銀行口座すら持てなかった多くの国民が、ビットコインで金融の恩恵を受けられるようになった。特に海外送金が格段に速く、安く行えるようになり、出稼ぎ労働者の家族には朗報だ。
  • 国家独自の経済モデル構築:国際金融機関への依存度を下げ、独自の通貨政策を進めることで、エルサルバドルは国際的な金融システムから一定の距離を置いた新たなモデルを模索している。

一方、ビットコイン導入のデメリットは、次の点がある:

  • 価格変動リスク:ビットコインの価格は乱高下が激しく、2021年の導入以来、国の財政に大きな影響を与えてきた。2022年の暴落時には、エルサルバドルが保有するビットコインの価値が大幅に下がり、国庫は大打撃を受けた。
  • 国際社会からの反発:IMF(国際通貨基金)や世界銀行は、ビットコインの価格変動が国の経済を不安定にするリスクを指摘して、ビットコイン導入に警鐘を鳴らしてきた。また、エルサルバドルがビットコインに依存し過ぎることで、国際的な金融システムとの軋轢が生じる可能性も懸念される。
  • 国内の不満:一部の国民からは、政府がビットコインに多額の資金を投じていることへの不満の声も上がっている。経済的な恩恵を実感できない層を中心に、不満が高まっているようだ。

国民は、治安改善の立役者としてブケレ大統領を熱狂的に支持している。2024年2月の大統領選では、憲法の歯止めを無視して三選を果たし、驚異の85%得票を記録。国民が安全な暮らしを何よりも求め、人権侵害や民主主義の後退すら容認する姿勢が浮き彫りになった。

エルサルバドルの実験は、新技術と強権政治の組み合わせが短期的には目覚ましい成果を生む可能性を示す一方、人権や民主主義の将来に暗い影を落としている。ビットコイン国家の行く末には、世界中の目が釘付けだ。

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参考文献

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この記事を書いた人

中井 純、工学博士
AIは30年以上、web3(仮想通貨)は3年以上フォロー。web3x生成AIには早くから注目し、ビジネスチャンスを研究。東大応用物理学科卒業後、ソニー研究所にて、CD、AIなどの研究開発に従事。MITの電子工学博士取得後、外資系社長を歴任。最近はハイテク・スタートアップの資金調達支援を手がけるかたわら、自らweb3x生成AIのライターとして活躍。技術的なことも分かりやすく、ユーザー目線で解説することが得意です。著書2冊。

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