メルカリ不正取引の利益をMoneroに換金した疑い
警察庁サイバー特別捜査部と埼玉県警など9府県警の合同捜査本部は21日までに、暗号資産(仮想通貨)「Monero(モネロ)」を使用したマネーロンダリングに関与した容疑者を逮捕した。今回の逮捕はモネロの取引を追跡し、犯人特定に成功した国内初の事例となる。
事件の主犯を含むグループは、2021年6月から7月にかけてフリマサイト「メルカリ」に架空の商品を出品。他人名義のクレジットカードを利用して約900回の不正取引を繰り返し、合計275万1,561円をだまし取ったとされる。警察庁サイバー特別捜査部と埼玉県警など9府県警が合同で設置した捜査本部は、匿名性の高い通信アプリのやりとりを通じ、グループの主犯格の特定に至った。
グループがだまし取った資金は、モネロを利用して資金洗浄(マネーロンダリング)されたと見られる。モネロは送金時に複数の秘密鍵を発行し、送信者の特定を困難にする「リング署名」を採用している。送金時に毎回異なるワンタイムアドレスを作成できるため、匿名性やプライバシー保護に優れる一方で、犯罪行為での悪用が懸念されていた。
捜査本部はモネロの取引履歴を追跡し、主犯格が今回の事件に関与した可能性が高いと判断したという。また警察庁サイバー特別捜査部の調査によると、主犯格が管理する口座には約6,000万円相当の仮想通貨が流入しており、その多くが不正取引から得た資金である可能性が高いとされている。
今回の逮捕はサイバー犯罪が進化する中で、警察の捜査能力が仮想通貨領域までに到達していることを示した。モネロなどの匿名性の高い仮想通貨が犯罪に利用される可能性が指摘される中で、警察の技術的な対応力がさらに重要な役割を果たすことになるはずだ。
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