仮想通貨取引所Hotbitが廃業
暗号通貨(仮想通貨)取引所Hotbit(ホットビット)は22日、同日日本時間13:00をもって同取引所のCEX(中央集権型取引)をすべて停止したことを明らかにした。事実上の廃業となる。同取引所のユーザーは「2023年6月21日 日本時間13:00」までに、口座内の仮想通貨をすべて出金する必要がある。
本日公表されたプレスリリースによると、Hotbit廃業の原因は、
①昨今の業界の混乱
②業界に対する規制強化
③悪意のあるユーザーからの攻撃
の3つ。
①が最大の原因だが、これは「FTXの崩壊」「USDCのディペッグ騒動」など、さまざまな悪い要因が連鎖的に結びついている。最終的には「Hotbitのキャッシュフロー悪化」が今回の廃業を招いたわけだが、その過程をみてみよう。
FTXの崩壊とディペッグ騒動
「FTXの崩壊」については過去の記事で詳述したので、そちらを参照して欲しい。
「ディペッグ騒動」とは、USDC等のステーブルコインの価値がステーブル(安定的)ではなくなってしまった状態を指す。
通常はあまり意識されないが、ステーブルコインには以下の3種類がある。
①フィアットバックド
発行元が「法定通貨」(たとえば米ドル、ユーロ、日本円など)に1対1でバックドしているタイプ。
②コモディティバックド
発行元が「コモディティ」(たとえば金や銀など)にバックドしているタイプ。
③アルゴリズムバックド
発行元が特定のアルゴリズムやスマートコントラクトによって価値の安定性を維持しているタイプ。
USDCは③だ。このタイプはフィアット(法定通貨)やコモディティとの交換はできない。発行量の調整により、需要と供給のバランスだけで価格を維持している、あぶなっかしい存在だ。
昨今の世界的な利上げ傾向により、各国の銀行が手許流動性を求めてこれらのステーブルコインを法定通貨に換金すれば、USDCなどはたちまち暴落してしまう。
鬼っ子ステーブルコイン
ディペッグは、ステーブルコインの発行元との仮想通貨取引所の双方に「取り付け騒ぎ」を引き起こす。Hotbitはその波に飲み込まれてしまった。顧客資産の分離保全が徹底されていれば、このような問題は起こらないはずだが、そうとも限らないのは、FTX事件をみても明らかだろう。
今後もステーブルコインと縁の深い仮想通貨取引所は注意が必要だろう。