米中の暗号資産政策の違いくっきり|中国人民銀行・副総裁の発言

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デジタル人民元への布石

中国人民銀行(中央銀行)の副総裁・宣昌能(セン・チャンネン)氏は、3月31日に海南省で開催されたボアオフォーラムで、暗号資産(仮想通貨)の持つリスク面を強調し、規制緩和には慎重であるべき、との見解を示した。

中国人民銀行の最高幹部から、現時点で暗号資産への規制強化ともとれる発言がなされた背景には、デジタル人民元の本格導入への布石の意図がある、との見方もなされている。

停滞する中央銀行デジタル通貨導入

現在、世界各国における中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の導入は、暗中模索の状況に陥っている。

中央銀行デジタル通貨は、発行主体が国家であり、れっきとした法定通貨である点で、法定通貨の一時的な化体物にすぎない電子マネーとは一線を画する。

国家の威信をかけた最高レベルの強度が要求されるうえ、未知のリスクが発生するおそれもあり、各国の中央銀行はお互いの出方をうかがっている状況だ。そんな中、デジタル人民元がCBDCの本格導入に先鞭をつけたのにはわけがある。

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自由主義国家 vs. 統制主義国家

スイス、エストニア、マルタといった、暗号資産先進国に比べれば、アメリカもまた暗号資産の普及やCBDCの導入には慎重だ。厳格な規制を課している点で、アメリカと中国の暗号資産政策は「表面的には」共通しているといってよい。だが、厳格な規制を行う理由が根本的に異なる。

アメリカの暗号資産規制は、あくまで「国民財産の保護」を目的とするのに対し、中国の暗号資産規制の目的は、デジタル人民元への一本化による「個人情報の完全把握」にある。将来的にデジタル人民元への法定通貨の一本化が完了した場合、国民による貨幣の利用履歴は、中国共産党に完全に筒抜けとなる。

現在、台湾を舞台に先鋭化している米中対立であるが、「自由主義 vs. 統制主義」というイデオロギー的なちがいは、暗号通貨政策にも鮮明に現れている。

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参考文献

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