テザーの時価総額上昇は怪しい|Kaikoレポート

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世界最大のステーブルコインの奇妙な点

ブロックチェーン分析企業の「Kaiko」は22日、同社レポートでステーブルコイン「USDT(テザー)」の取引量は、数年ぶりの低水準に落ち込んでいるにもかかわらず、時価総額は史上最高値まで上昇しており「異常である」と指摘した。

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3月の銀行危機以来、暗号資産(仮想通貨)の取引量と価格は低迷しており、どちらの方向にも強い動きはない。先週末には、日々の取引量が数年ぶりの低水準に落ち込んだ(図1)。

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図1 USDT Trade Volume vs. Market Cap
出典:Kaiko

しかし、このような冬の時代にもかかわらず、USDTの時価総額は史上最高値に急速に近づいており、現在の総供給量は829億ドル(約11兆円)となっている。現在、USDTの主な用途は中央集権型取引所(CEX)での取引であり、全取引の半分以上がUSDTで決済されている。DEXでもその優位性は同じだ。

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ではなぜ、CEX・DEXいずれも取引量が激減しているこの冬の時代に、USDTの時価総額が上昇し続けているのだろうか。銀行の破綻や、USDCのデペッグ、BUSDの終了などライバルの失墜がUSDTへの移動を引き起こしたと考えることができる。しかし、Kaikoのデータ(図2)によると、過去数か月間、他のステーブルコインと比較して、USDTの市場シェアが顕著に増加しているわけではない。

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図2 Stablecoin Market Share on CEXs
出典:Kaiko

DEXでは、USDTは全ての取引のわずか20%にしか使用されておらず、年初から増加しているものの、同期間に150億ドル以上増加したUSDTの時価総額を説明するには必ずしも十分ではない。

歴史的に取引量の変化はTetherの時価総額の変化と緩やかな相関があり、市場が顕著に活性化する時期には時折急上昇することがあったが、現在ではその相関関係はゼロだ(図3)。

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図3 USDT Trade Volume /Market Cap Correlation
出典:Kaiko

一方、同じデータをUSDCで見ると、時価総額は取引量と連動して拡大・縮小しており、全体として取引量と時価総額にはきれいな相関が見て取れる(図4)。

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図4 USDC Trade Volume vs. Market Cap
出典:Kaiko

USDTの時価総額が上昇している理由は、Tronブロックチェーンの利便性が関係しているかもしれない。USDTの大部分はTron上で発行されており、BinanceやOKXなどのオフショア取引所は、Tron上で発行されたUSDTの最大の残高を保有している。マーケットメーカーやクジラが、ほぼ即時の決済と送金手数料の安さからTronネットワークを好んでいることを示唆している。

結局のところ、USDTの時価総額と取引量にはほとんど相関がなく、一体何がUSDTの時価総額を過去最高に押し上げているのか、はっきりしたことはわからない。

参考

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この記事を書いた人

元一般企業会社員。現在はトレーダー兼ライター。
株式やFX、仮想通貨デリバティブ、草コイン、ノード運用と色々やっています。

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